第25回|岐阜県美濃東部 防災力強化ネットワーク会議レポート(10/24 18:30~ 瑞浪市文化センター3階講義室)

はじめに

「自分や大切な人のいのちを、まず自分で守る。」
そんな合言葉のもと、第25回 岐阜県美濃東部防災力強化ネットワーク会議が10/24に開催されました。今回は瑞浪市が当番。各地の防災団体が集まり、活動内容の共有継続のあり方、そして現場で見えてきた課題を率直に語り合いました。会場には市外からの参加者も。あたたかな空気の中に、現場の実感とこれからへの意欲が静かに満ちていました。


開催概要

  • テーマ:防災団体の活動内容と継続のあり方/現状と課題

  • 主催・当番:瑞浪市(危機管理課)・みずなみ防災会

  • 参加:美濃東部(※)の防災団体・関係者(計8団体登壇)

  • 進行:事前アンケートに沿ったリレープレゼン+質疑応答

(※美濃東部エリア:中津川市、恵那市、瑞浪市、土岐市、多治見市、可児市、御嵩町の6市1町)


ご挨拶から見えた現状認識

  • 行政の視点(瑞浪市)
    近年は出水期の大雨被害が頻発。災害はいつ起こるか分からない—だからこそ自助・共助の力を育てることが急務。備蓄整備・職員研修に加え、市民啓発を防災団体と連携して推進中。
    余談ながら、配布された非常食ビスケットは「アイスと一緒に砕いて“クッキーアイス”にすると美味しい」との実践Tipも(会場が少し和みました)。

  • 主催団体の視点(みずなみ防災会)
    会員は多くとも参加率の壁(約2割)。一方、旧小学校区ごとの訓練担当制他地区が不足を補う横連携で稼働を底上げ。さらに、18種類の“訓練メニュー”を公開し、申込制にしたことで実施件数が大幅増。「何を頼めるのか」が見えると動きやすい、という学びが共有されました。


各団体の取り組みハイライト

1)みずなみ防災会

  • 参加促進:地区割の担当制/LINE・郵送・ハガキの多層連絡

  • 訓練の見える化18項目の訓練メニューをHPに掲載し、申込式に

  • 内容:講話/防災食づくり/牛乳パック調理/ペーパークラフト活用/タイムライン学習 など

  • 新規防災士支援:講演会・研修会・交流会を定期開催

  • 課題要配慮者支援は個人情報の壁が厚く、配慮しながら進めたい

2)防災士なかつがわ会 学校・施設連携が強い地域の事例

  • **全園・全校の転倒防止(耐震固定)**の徹底、移設時の再固定まで運用

  • 継続的な“学校防災”(幼小中・学区の勉強会・交流)

  • 地域防災士会の立ち上げ支援:15地区中11地区まで拡大するも、継続が難しい地区も

3)恵那市防災研究会

  • 有志5人からスタートし、研修メニューを整備

  • 避難所運営(HUG)・地震体験車・タイムラインなど体験型中心

  • 学校防災の推進地域防災計画との接続

  • 国のモデル事業に採択され、学校基軸の実証を前進中

  • 要配慮者支援:福祉・障害当事者団体と連携、イラストマップの作成で関係機関連携を深化

4)土岐市の町内発・集合型の実践(土岐津防災の会、土岐市肥田町防災の会)

  • 小さな町内会から積み上げ、全市連絡会へ

  • 参加率100%に近い運用(行事ごとに誰かは必ず出る仕組み)

  • マンホールトイレ組立・避難所開設の実地訓練が定着

  • 倉庫整備の標準化(ラベリング・配置図で誰でも使える)

5)可児市防災の会 親子・多世代の学び直し

  • AED講座を“親子参加”で実施し、家庭内の理解と会話を促進

  • **子ども向け防災ゲーム(すごろく・釣りゲーム等)**で“楽しい学び”→親への波及効果が高い


質疑応答で深まったポイント

  • 外国人住民への伝え方
    ハザードマップの多言語化(タガログ語/ポルトガル語/英語)。
    一方で、実際のアナウンスは**「やさしい日本語」が有効。「危ない。逃げて。」など短く強い言葉の方が届くという当事者の声も共有。自治会×国際交流団体で日本語教室や勉強会と接続**し、参加導線を探る。

  • プッシュ型物資支援
    大規模災害時は要請前に国から優先物資が届く“プッシュ型”に移行。
    県の受援拠点(体育館等)を事前に整え、社協のボランティア・トラック協会と連携して仕分け→各市町へ搬送
    の流れを確認。受援の訓練も必要。

  • 住宅の命を守る選択肢
    予算や建物状況により耐震改修が難しい場合、室内シェルターの導入で“致死リスクを下げる”現実的対応も。市町の建築セクションに制度・補助の相談を。


今日の学び(私見)

  1. 「メニュー化」は参加を生む。
    “頼めること”を見える化すると、申込が一気に増える。団体内のアサインや重複回避もスムーズに。

  2. “楽しい×体験”が家族を動かす。
    子ども向けゲームや親子AEDは、家庭の防災会話を自然に増やしてくれる。

  3. やさしい日本語は防災のユニバーサルデザイン。
    行政表現を短く、明確に。**「危険・避難・命」**が直感で伝わる言い方を、まず現場から。

  4. 受援の準備も“防災力”。
    物資が来ても“受け取れない・配れない”と詰まる。受援拠点・人・動線を平時に決めておく。

  5. “継続”は仕組みと楽しさで支える。
    地区割や横カバー、交流・研修、そして「おいしい非常食アレンジ」みたいな小さな楽しさも、実は大事。


次回予告とお誘い

次回は時期未定ですが、可児市が開催に立候補。日時は未定です。
会場全体で**“子どもになったつもりで体験するゲーム&訓練会”**が企画されています。日付が近づいたら、詳細をご案内します。初めての方も大歓迎です。
ちなみにその次は、我が町の当番です。準備も忙しくなるかも。


おわりに

会の最後に交わされた「また一緒にやりましょう」という言葉が、胸に残りました。完璧じゃなくていい。**続けられる形で、つながっていくこと。**それが、地域の防災力になるのだと思います。
今日の学びを、私たちの暮らしへ。無理のない一歩から、いっしょに始めていきましょう。


付録:参考になった実践アイデア(メモ)

  • 訓練メニューを18項目で公開&申込制に(所要時間も明記)

  • マンホールトイレの組立訓練を“避難所開設”とセットで

  • 親子AED講座学校備品の転倒防止の徹底

  • 子ども向け防災ゲームを貸し出し可能に(交流のきっかけづくり)

  • やさしい日本語の用語集づくり(短い指示語で命を守る)

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